年齢とともに賃金が上がっていった時代はもう昔。これからは給料が上がらないことを前提に、将来の計画を立てていかなければいけない。
そうなると、必要になるのは投資。給料が増えず、貯金に利子がつかないのなら、自分のお金は自分で増やすしかない。
『決定版! たった90分で人生が変わる ワンルームマンション投資入門 改訂版』(住吉秀一著、幻冬舎刊)は、数ある投資のなかでも「手堅い」とされる不動産投資について解説。特に、資金の限られた会社員でも手を出しやすいワンルームマンションを対象にした投資方法を指南する。
家賃収入で定期的にお金が入ってくる。インフレに強い。そして今はローンの金利が低い。こんなメリットのある不動産投資だが、当然ながら誰もが成功できるわけではない。
本書によると、全国の賃貸物件の空室率は平均21%。都内でも14.5%(2020年5月時点、ホームズ調べ)と、物件を購入したはいいものの借り手がつかないという事態は十分に考えられる。そうなってしまうと、せっかくの不動産投資も資産運用の役に立たなくなってしまう。
では、不動産投資で利益を出していくためには、どんなことに注意すればいいのか。その一つが物件の選び方だ。本書によると、不動産投資は物件を購入した時点でその投資の成否がほとんど決まってしまうという。そんななかで、これから不動産投資を始める「初心者」に向いているのが
・好条件の物件も手が届く価格帯
・管理の手間がかからない
・物件数が豊富で比較しやすい
・ローンを100%近くつかえる
などのメリットがあるワンルームマンションなのだ。
では、ワンルームマンションを購入するのに適した場所はどこなのか。
本書で推奨されているのが「東京」と「名古屋」である。東京は少子高齢化が進む日本のなかでも、ワンルームマンションの借り手層となる単身世帯数が増えている。その一方で、都の規制によって首都圏のワンルームマンションの供給戸数は2007年の9210戸から、2019年には5254戸まで減っている。需要に対し、供給がまったく追いついていない状態だというのも、投資分野としてのワンルームマンションの強みでもある。
一方で名古屋の魅力はその豊かさだ。内閣府の2016年度県民経済計算によると、都道府県別県内総生産で、愛知県は東京都に次ぐ2位。一人あたりの県民所得も同様に2位となっている。その中心はいうまでもなく名古屋である。
名古屋の豊かさは、リニア中央新幹線の開業、アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区の指定などによって今後も継続していく、と本書は見立てている。豊かな場所には人が集まる。必然的に賃貸需要も高まるというわけだ。
◇
本書では物件選びのより細部にわたる注意点や、物件購入のノウハウ、資金調達の知識、そして税金の知識まで、不動産投資で必要な知識を包括的に解説している。
興味はあっても手を出すとなるとなかなかに勇気がいる不動産投資だが、本書はこれから始める人の背中を押しつつ、リスクについても教えてくれる。初心者投資家には頼りになる一冊だ。
(新刊JP編集部)
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