新型コロナウイルスの影響で、リモートワークを活用する企業が増えた。
同僚や取引先と直接顔を合わせないぶん、リモートワークでは限られた時間で重要な情報を聞き出して、その情報を仕事に活かすことが重要になっている。そのために必要なスキルが「聞き出す技術」だ。
『聞き出す技術』(反町理著、扶桑社刊)では、BSフジ『プライムニュース』のキャスターとして、1000人を超える政治家、各界で活躍する人々の話を聞いてきた反町理氏が、「聞きたいことを聞き出す」ためのノウハウを紹介する。
多くの著名人の話を聞き出してきた反町氏が身につけた「聞き出す技術」とはどのようなものか。
相手の話を聞き出す際、聞いているこちらの反応や表情、返事は、自分の話が届いているか、伝わっているかどうか相手が把握するための大切なサインになる。
反町氏は「なるほど」と相槌をする癖があり、番組スタッフに「なるほど、なるほどって、うるさい。ゲストの声が聞こえないじゃないか」と注意されたことがあるそう。一方で「なるほど」は会話のリズムを出す言葉でもある。
話の内容が深まってくると、こちらの要求も高くなる。「その話ではなく、こっちについてもう少し話てくれ」と思っても、そのまま口に出すわけにはいかない。そんなとき、「なるほど、それで~」と自分の聞きたい情報について話す方向に誘導する。リズムをつけて相手の話を「引きずり出す」のだ。
また、そろそろ別の話題にいきたいときにも「なるほど」は使える。「もうその話はいいですよ」などといきなり言うと、ぎすぎすとした雰囲気になってしまうので、「はい、なるほど、うん」と言ってその話を終わらせればいい。
また、相手の話にこちらが興味を持っていることを伝えるには、メモを取りながら聞くのがいい。メモを取ることは自分のためになるばかりか、相手に熱意を目に見える形で伝えることができるからだ。反町氏も番組中は相手の話を聞きながらメモを取っているという。
メモの中身は、ゲストの話の概要や方向性がわかるような言葉。「キーワード」「フレーズ」を書いて、それに対して頭の中で湧いてきた質問も書いて、ゲストが話している間、その質問を温めておく。相手がそれに対する答えを言ったら、棒線を引いて消して、次のフレーズを書いて、もう一人のゲストがそれについて何か言ったら、それも書いて矢印で示して対比させ、「ファクトシート」と「クエスチョンシート」が入り混ざっているような感じでメモを書いているという。
コミュニケーションをとる上で、相手の本音を聞き出したい、円滑に話を進めたい場面は多々ある。そんなとき、「聞き出す技術」は役に立つはず。会議や打ち合わせの際、本書で身につけた聞き出すノウハウを実践してみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
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