目の前の問題の解決策を探したり、アイデアを思い浮かべたり、新しいビジネスを計画したり...。
私たちの生活には常に「考えること」がつきまとう。そんな時、腕を組んでじっと考えるのをやめて、手を動かしてみると、それまで考えつかなかった解決策や、新鮮なアイデアが出てくることがある。頭の中だけで、思考の枝葉の部分まで記憶しながら考え続けるのは大変だ。それなら、大きな画用紙に自分の思考を絵や図にして描いてみればいい。
絵や図にして考えをビジュアル化することで、頭の中が整理されたり、思考の枠組みが外れて自由な発想ができるようになったり、自分で気がつかなかった自分の心理状態を把握することができるようになる。
「考えをビジュアル化する」といっても、「絵心がないから...」と尻込みする必要はない。『ビジュアル思考大全 問題解決のアイデアが湧き出る37の技法』(三澤直加著、翔泳社刊)によると、思考のビジュアル化で必要な絵は大部分パターン化できるという。決して絵自体に独創性が必要なわけではない。
たとえば、何か仕事上のトラブルが発生して、解決策を考えなければいけない時。トラブルの内容が複雑であればあるほど、解決策が出にくいのは当然として、関係者を集めた会議の場では、時間が経てば経つほど話が堂々巡りになり、有効な策が出にくくなってくる。
これは、一つのことを集中して考え続けると、だんだんと視野が狭く、近視眼的になってくること、そして時間が経つことで、トラブルの解決が具体的に何を指すのかという「ゴール」を見失いがちなことによる。こんな時に必要なのはたった一つ、今取り組んでいることを「俯瞰で見る」ことだ。
今の状況の全体を把握したいのなら、「大自然の要素でとらえる」やり方がおすすめ。
考える対象を「木」に見立て、
「枝」には自分たちの活動を、
「根」にはその活動を支えている技術や資産を、
「実」には成果物を、
「大地」には養分を、
「空」には外的環境を書き込んでいく、というもの。
トラブルシューティングに置き換えるなら、
「枝」...トラブルを解決するためにすべきこと
「根」...トラブルの原因
「実」...解決後の状態
「大地」...トラブル解決に使える資源
「空」...トラブルが起きた環境
といったところか。
また、解決までの道筋を整理したいなら、「すごろく」状の絵を描いてみるのが有効だ。解決までの道のりを細かく切り分けてゴールにつなげることで、やるべきことが見えやすくなる。
◇
俯瞰するだけでなく、要約したり、構想したり、自分の心のありようを把握したり、物事を深く追究したりと、絵を描くことで様々な種類の思考がラクで自由になる。必要なのは紙とペンだけ。実際にやってみると、絵を描くという単純な作業が持つ効果が思いのほか大きいことに気づくはずだ。
手を動かさないと気づかないことは、まちがいなくある。自分の思考の枠を取り払い、自由に発想するために、気がつかなかった問題点に気づくために、本書で解説されている、考えることの種類に合わせたビジュアル化の手法は大いに役立つだろう。
(新刊JP編集部)
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