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なぜ日韓関係はこんなにこじれるの?その発端となった19世紀の紛争

  • 書名 『Lock on!近代史』
  • 監修・編集・著者名坂木耕平
  • 出版社名幻冬舎

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という言葉があるが、未来の自分の行動のガイドラインとなる智恵を歴史から学びとるのは、簡単なことではない。現在まで語り継がれている歴史の大部分は「勝者の歴史」であり「成功体験」だからである。

しかし、何かを学ぶことができるとしたら、それは成功からでなく失敗からだろう。特に日本の近代史を紐解くと、現在まで尾を引く失敗を目の当たりにすることになる。

■「日本すごい」的歴史観が幅を利かす今だからこそ知るべき日本の近代史

「日本の近代史」には「成功の歴史」と「失敗の歴史」があるが、最近きくのは前者の話ばかり。近頃日本が元気がないから「過去の栄光」を振り返り、カタルシスにひたりたいのだろう。でも、本当に大事なのは「失敗の歴史」だ。

『Lock on!近代史』(坂木耕平著、幻冬舎刊)は、こんな書き出しではじまっている。そして、日本の教育では近代史がしっかりと教えられていない、とも。

たとえば、今の日本が抱える問題のうち、その根を近代史に見ることができるものの一つとして、中国・韓国との関係がある。特に今でも日本の国際関係に暗い影を落としているのが、朝鮮半島とのこじれた関係である。

北朝鮮や韓国との関係には複雑な経緯があること、またはかつて日本が朝鮮半島を侵略したことをぼんやりとは知っていても、どんな経緯があったのかを具体的に話せる人は、実は案外少ないのかもしれない。この問題の発端は1894年に起きた日清戦争までさかのぼる。この戦争の意味合いは、「中国を相手とした、朝鮮半島の争奪戦」である。

本書によると、当時の日本には「中国(清国)の支配下にある朝鮮の独立・近代化を助けたい」という気持ちと、「朝鮮の近代化の指導のために、朝鮮を日本の支配下におく」という二つの思惑があったという。そこに加えて、南に向かって影響力を伸ばしていたロシアへの「防波堤」とするためにも、朝鮮は日本にとって極めて重要な場所だった。

当時の日本の指導層には、日本の初代総理大臣として知られる伊藤博文をはじめ、大国である清と戦争をしても勝てないと考える人は少なくなかったが、予想に反して日本は清を破り、勝利。朝鮮から清の影響力を排除することには成功したが、今度は同じく朝鮮での権益をめぐってロシアと対立し、それが1904年の日露戦争へと結びつく。ここでもかろうじて勝利した日本は完全に勢いづき、その後の数十年にわたる戦争と海外での権益獲得の道を突き進むことになる。

当時、清や朝鮮の資源や権益を食い荒らしていたのは、日本やロシアだけではない。イギリス、フランス、ドイツも同様に、相手国の主権など考えず、自国の利益のみを追求していた。そういう時代だったのだ。

ただ、朝鮮国内には、日本が清から自国を解放し、独立を支援してくれる、と期待する人もいた(実際に日本は独立を約束していた)。こうした期待をその後の日本は韓国併合によって手ひどく裏切ってしまった。現在の韓国や北朝鮮の日本への不信感は、このあたりから発しているのである。

出来事と年号を記憶しても歴史を理解することはできない。なぜ、どのように、出来事が発生したのかを丁寧に追うことで、はじめて理解できるものだ。

「日本はすごかった」的な歴史観が幅を利かす今だからこそ、正確な歴史認識が必要であり、また価値がある。本書は近代という激動の時代を理解するための格好の参考書になるはずだ。

(新刊JP編集部)

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