読解力、文章力は何歳になっても私たちにとって重要なスキルだ。
それらの礎になるのが子どもの頃の読書。幼い時から文章に慣れ親しむことで、文章を読んだり書いたりするのを楽しめるようになる。
では、子どもの頃から読書を習慣にするには、どうすればいいのか。
それは、親が上手に読み聞かせをすることだという。
『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』(松永暢史著、扶桑社刊)は、教育環境設定コンサルタントの松永暢史氏が、読み聞かせの方法、どんな本を読ませるのが、あるいは読み聞かせに選ぶのが良いのか、144冊を厳選して紹介する一冊だ。
プロの受験指導者、学習指導者として、これまでたくさんの子どもと接してきた松永氏は、本格的な勉強は子どもが成長してから、10歳を過ぎたくらいで十分と考えている。そして、将来、子ども本人に人生選択を希望通り叶えるため、絶対に欠かせない学力をつけるという基準で考えると、必ず習慣づけてほしいことが「本を読む」ことだという。
地頭の基礎が作られる10歳くらいまでは、子どもに本を与え、親が読み聞かせること、読書にかける時間をたっぷり作ってあげることが大切なのだ。
東大生の親に行ったアンケートでも、共通して子どもの頃にさせていたのは「読み聞かせ」だったそうだ。さらに、「本を読むこと」とは「勉強ができる」と言い換えてもいいくらいだという。
小さい頃から親が読み聞かせをすることで、脳にたくさんの刺激が与えられ、自然に言葉に馴染んでいく。その後成長して、読書習慣がつくかどうかも、この時期どれだけ読み聞かせで本に親しんだかが大きく関わっている。
そして、読み聞かせをスタートとして、本の世界に入っていくことで、語彙力から文章理解力、思考力、集中力、表現力など、学力向上に欠かせない力が養われていくのだ。
10歳までの「読み聞かせ」をする本は、何を選べばいいのか。どのように読み聞かせて、子どもの読書習慣に結びつけていくのか。本書では、その方法をはじめ、1、2歳から読み聞かせる絵本の紹介、子どもが本を読まずにはいられなくなる環境づくりまで網羅している。
文部科学省・平成24年度全国学力・学習状況調査の統計によると、読書時間が1日に30分以上ある小学生は3人に1人、1時間以上ある子は6人に1人。中学生、高校生になると、その割合はさらに減る。読書家というだけで、少数派なのだ。
小さい頃から読み聞かせをし、読書を習慣づけることで、周囲から頭ひとつ抜き出る子どもの教育、将来の学力の基礎作りになるはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)
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