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『なぜ僕らは働くのか』を読んだ20代の若者たちは「仕事」をどう考えたか

仕事とは一体なんだろう。なぜ僕らは仕事をするのだろう――その答えは人それぞれだ。「お金のため」という人もいれば、「世の中の役に立つため」という人もいる。

いずれにしても、私たちの人生から仕事は切っても切れないものだ。どんな形であっても、お金を稼がないといけないし、自己実現をするために何かしらの活動をしていかなければならない。

しかし、日々の生活の中で、今、自分が仕事をしている理由が分からなくなる瞬間はないだろうか。毎日の繰り返しの中で、かつては能動的に関われていた仕事が、当たり前にこなさなければいけないものになり、「自分が仕事をしている理由」を見失ってしまう。

そんな社会人にとって必要なことは、自分にとっての「仕事」を見直し、仕事観をアップデートしていくことだ。

このほどオーディオブック版がリリースされた『なぜ僕らは働くのか 君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』(佳奈著、池上彰監修、学研プラス刊)はマンガと文章で「僕らにとって仕事とは何か」を教えてくれる一冊。中高生向けに書かれているが、大人が読んでも気づかされることがたくさんある。

ここでは、「この本を読んだ」という20代の社会人3人に、本書を通して見つけた「自分の仕事観」について話を聞いてみた。

2年前に大手インフラ企業からベンチャーに転職した山崎さん(仮名/26歳男性)。社会人4年目を終えようとしている彼は、ベンチャーならではの幅広い業務をこなしながら仕事をしている。そんな中で母親からこの本を勧められて読んだそうだ。

「中高生向けの本だと思っていたのですが、実際読んでみたら大人も読む意味がある本だと感じました。冒頭に『仕事は誰かの役に立つこと』と書いてあるんですが、どんな仕事も誰かの役に立っているから存在するわけですよね。そしてお金は役に立っていることに対する『ありがとう』の意味だと。
仕事って目の前のことをこなすだけだし、お金も単なる数字にしか見えなくなるときもあるけれど、実はその先には誰かがいる。その誰かをイメージすることの大切さを知りました」

続いては、コンテンツ制作会社に入社し、日々コンテンツと向き合っている新卒1年目の中田さん(仮名/23歳男性)。キャリアの一歩目を踏み出したばかりの彼にとって、仕事とは一体どう映っているのか。

「高校3年の受験生のときにラジオにハマって、コンテンツって面白いと思ったのが、この業界に入ろうとしたきっかけでした。自分としてはやりたいことができていると思っていて、お金のために働いている感覚はないです。自分のコンテンツを作りたい欲求を満たしてくれるのが仕事というか。
だから、この本を通して仕事観が変わることはなかったんですけど、自分のこれまでを振り返って、この本が言っている通りに判断してきたなと再認識させられました。どういう価値を自分は大事にしているのか、それが分かった本ですね」

最後に登場するのは、ベンチャー企業の広報として活躍する榊さん(仮名/28歳女性)。社会人6年目、一度自分のキャリアを見直し様々な可能性を検討する時期に差し掛かっている彼女は、『なぜ僕らは働くのか』を読んでどんなことを考えたのか。

「中高生の頃はあんまり将来の仕事を考える選択肢がなくて、それこそ小説やドラマに影響されて夢を抱くみたいな感じでした。ただ、この本を読むと分かるけれど、自分が想像している何百倍も仕事ってあって、それで世界が成り立っているんですよね。サッカーが好き=サッカー選手になるのではなく、その周囲にはたくさんのサッカーに関わる仕事があるというみたいに。社会人になってからそれがすごく実感できましたし、この世界にはたくさんの仕事があるということを知ることが、自分の可能性を広げることにつながるんじゃないかと思います。
社会人6年目になった今、以前に比べて仕事って何だろうってよく考えるようになりました。そんな中でこの本を読んで、決まったルートを辿ることが全てではなくて、自分で道を作っていけるんだと思わされましたね」

 ◇

そして、3人が口をそろえて言ったのは「仕事のイメージを広げてくれる一冊だった」ということだ。

同じ日々を繰り返していると、だんだんと新しい知識や世界を見る機会が減っていく。でも、実は自分の力をもっと人の役立たせる場所があるかもしれないし、今やっていることをより追求することでより多くの人を幸せにすることができるようになるかもしれない。

イメージを広げること――それはこれからの時代を作る中高生だけでなく、今の時代を生きている社会人にとっても必要なことだろう。なんとなく仕事をしている人、将来について悩んでいる人、そして仕事に対してもっと向き合いたいと思っている人にとって、『なぜ僕らは働くのか』は自分の可能性を広げてくれるヒントをもたらしてくれるはずだ。

(金井元貴/新刊JP編集部)

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