眠りが浅い気がする。
寝つきが悪い。
夜中に目が覚める。
朝スッキリと起きられない。
眠りの質の低下は、日中の集中力や注意力の低下に直結する。そしてそれは、仕事の生産性や人生全体の充実感とも関係する。睡眠時間は、日中起きている時間と表裏一体だ。
だからこそ睡眠についてもっと深く知るべきだが、私たちは生まれてから大人になるまで「眠り方」を学ぶことはない。
どうすればぐっすり眠れ、起きるべき時間にすっきりと起きられ、日中精力的に動けるのか?これは誰にとっても一考すべき問題だろう。
都内のクリニックで睡眠外来を担当する作業療法士の菅原洋平さんは、著書『働く人の疲れをリセットする 快眠アイデア大全 誰にでも効く光×体温×脳のアプローチ』(翔泳社刊)で、日々の生活の取り組みを通して睡眠の質を改善していくための方法をまとめている。
改善に取り組む前に、自分が十分に眠れているのか、それとも睡眠不足なのか知りたくなる。本書に掲載されている睡眠不足のチェックポイントを見ると、睡眠不足のサインは日常のいたるところにあらわれているようだ。
・タンスの角に足をぶつける
・アメを途中で噛む
・パソコン作業中に髪や顔を触る
・「あれ?何しにきたんだっけ?」となる
・脚を組む、頬杖をつく
・眠る前に食べるのを止められない
・周りがうるさいと集中できない
・文章の同じ行を2回読んでしまう
・相手の行為や言葉を受け流せない
タンスの角に足をぶつけてしまうのは、自分のイメージと実際の体の動きにズレが出ている状態で、筋肉から脳への正確な情報伝達ができなくなっているということ。アメをがりがり噛んでしまうのは、脳を覚醒させる役割のあるセロトニンの分泌を促すために、リズム感のある動きを無意識にしている可能性がある。また、パソコン作業中に顔や髪を触るのは、脳を覚醒させるヒスタミンという物質が過剰に分泌された影響で体の敏感な部分がかゆくなっている可能性がある。
いずれも睡眠不足のサインである。
これら9つの兆候に心当たりがある人は、自分の睡眠について見直してみるべきかもしれない。
実際に睡眠不足の自覚がある人も、眠りについての悩みは様々だ。
たとえば、一度は眠れるが、夜中にトイレで目が覚めてしまい、そのせいで朝スッキリしない人は多い。
この場合はいかに就寝前に水分を出しておくかが対処のポイント。眠る前に10分ほど、腰よりも高い位置に脚を上げ、体の中心に水分を集めておく(お尻を一番低くしておく)と、就寝前のトイレで水分が排泄されやすくなり、夜中の尿意を感じにくくなる。
また、この時期特有の花粉症による寝つきの悪さにも、とっておきの裏ワザが。
実は私たちが普段無意識に行っている鼻呼吸には、大脳を冷却するはたらきがある。ところが、アレルギー性鼻炎や花粉症で鼻呼吸がしにくくなると、このはたらきが弱くなり、結果眠りが浅くなりやすいのだ。これを改善するには、「頭の耳から上を冷やす」のが効果的。外から大脳を冷やしてあげることで、鼻呼吸ができないことの弊害をカバーすることができる。
体はくたくたに疲れているのに、眠ろうとするとうまく眠れないという場合は、入浴から就寝まで1時間あけるのがおすすめ。入浴によって引き上げられた深部体温(体の内部の体温)は1時間後に急低下する。このタイミングで眠気がきやすい。
◇
気が高ぶっていたり、強いストレスを感じたり、あまりにも疲れすぎていたり。睡眠は心身の小さな変化が反映されやすい繊細なものだが、それは自分の状態に合わせた対処法によって改善することができるということでもある。
本書では、睡眠の仕組みを踏まえて、現状の睡眠問題に対処するための123種類のTIPSが紹介されている。あなたの悩みに合ったアドバイスがきっと見つかるはずだ。
(新刊JP編集部)
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