ストレッチやマッサージをしても、整体、鍼、カイロプラクティックに行っても、なかなかとれないのが腰、首、膝などのしつこい慢性的な痛み。
実は、その原因が腰、首、膝にはない場合が多くあるということが、アメリカのスタンフォード大学やノースウェスタン大など、さまざまな研究機関によって明らかになってきています。
その注目すべきポイントは「脳」です。
「慢性痛の9割は脳が原因といいます。これは、私の持論ではなく、医学界ではよく知られた話です」と述べるのが『見るだけでしつこい痛みがすーっと消えるすごい写真』(アスコム刊)の著者で医学博士の河合隆志さんです。
ノースウェスタン大学の研究では、慢性的な痛みに苦しんでいる人と健康的な人、それぞれの安静時の脳活動を比較したところ、健康な人の脳の方が血流量が多く、活性化していることがわかっています。さらに、同大学の研究では、健康な人と慢性痛に苦しんでいる人に同じ刺激を与えたところ、「側坐核」という痛みをやわらげる働きの部位が、健康的な人だけ活発に動き、慢性痛の方は活発に動いていないことがわかったそうです。
そもそも痛みを感じるのは、患部から脳に「痛い!」という信号が送られているから。この信号を最終的にキャッチするのが、脳の偏桃体という部分です。
これがクセモノで、扁桃体は一度「痛い!」と感じると、痛みにビクビクしてしまって、患部が完治しても「痛い!」と勘違いしてしまうクセがあるそうです。
この痛みでビクビクしている扁桃体を元の状態に戻す働きをするのが先ほどのノースウェスタン大学の研究でも出てきた「側坐核」です。
この側坐核の働きが活発になると、扁桃体は「あれ? もう痛くないじゃん!」と気づきます。すると長引くしつこい痛みが消えていくのです。
側坐核を活発にするのが、楽しい、うれしい、笑った、興奮したなどと脳が感じたときに発せられるドーパミンです。では、手軽にドーパミンを出すには、どうすればいいのか。そこで河合さんが着目したのが写真です。
脳に送られる情報の8割は視覚だといわれており、目から入った多くの情報によって脳はさまざまな刺激を受けています。つまり、うれしい、楽しいと感じられる写真を見ることで、脳が刺激され、多くのドーパミンを発し、側坐核を活発にできるのではないかと河合さんは考えたのです。
「そんな簡単に?」と思われるかもしれませんが、スタンフォード大学の研究では、痛みに苦しむ人が、「好きな人の写真」を見たところ、脳の血流量が増加し、痛みがやわらいでいったという結果が得られています。
本書には、下の写真のようなドーパミンなどが発せられる、楽しさや驚きを与える写真が31枚掲載されています。
さらに、写真には脳に「痛みに関する脳の勘違い」を正す格言が掲載されています。これを読むことで「痛み」について誤解を正すことによって、「もう痛いわけがないんだよ」と脳に直接訴えかける効果があるといいます。
日本整形外科学会専門医の河合さんは、慢性的な痛みに悩む人たちと数多く接してきました。そして、自身も学生時代に慢性痛に悩んだ経験から、一度慶應義塾大学理工学部および大学院修士課程を修了したあとに、東京医科大学医学部に入学したという経歴の持ち主です。
「くれぐれも、まず病院で体自体が壊れていないか、徹底的に調べてもらうことは忘れないでくださいね」と念を押した上で、新しいメソッドということで賛否両論を覚悟しつつも「痛みのない幸せを一人でも多く感じてほしい」と本書を書いたといいます。
『見るだけでしつこい痛みがすーっと消えるすごい写真』はそんな河合さんの想いが詰まった一冊といえるはずです。
(新刊JP編集部)
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