自分のことはもちろん、家族のことも考えると、認知症は誰にとっても他人事では済まない病気です。
認知症予防に関する数多くの情報の中で、まだ一般には広く知られていないにもかかわらず、実は医師や自治体が今もっとも注目している予防のポイントがあります。「MCI」というワードを聞いたことがありますか?
パッと言葉が出てこない。
なんとなく意欲がわかない。
新しいことを覚えるのが面倒。
そんなことが増えると「年のせいかな」なんて思って放置してしまいがちですが、実はこれがMCIのサインかもしれません。
「脳の健康を維持する最大・最後のチャンスは、認知機能の低下をMCI で食い止めること」
こう語るのは『長生きでも脳が老けない人の習慣』(アスコム刊)の著者、角谷建耀知(かくたにけんいち)さんです。MCIとは軽度認知障害のことで、いわば「プレ認知症」であり、放っておけば認知症に進行するといいます。
自分や両親は大丈夫だろうか...。思わず心配になってしまいますが、仮にMCIだからといっても、過剰に落ち込むことはありません。むしろ早く気づけたならラッキー。正しく対処すれば14〜44%の人が健常な脳に戻れるのだそう。また、戻れなくてもそれ以上の悪化を食い止めることは可能です。
では、具体的に何をすればいいのでしょうか?
角谷さんによれば、大事なのは、糖尿病と同じで食生活も含めた生活習慣の改善とのこと。
なぜなら認知症の多くが、血管の劣化によって起こります。認知症予防というと「脳トレ」などに目が行きがちですが、実はそれ以上に食習慣や運動習慣の改善が重要なのです。
そこで『長生きでも脳が老けない人の習慣』には、
・日常生活で気をつけること
・脳にいい食生活
・お家でできるエクササイズ
が、すぐに取り入れられる対策として書かれています。
ここでは本の中から一部を紹介しましょう。
日本人の認知症患者の約6割を占めるのが「アルツハイマー型認知症」です。
そして、アルツハイマー型認知症の原因の多くは「脳のゴミ=余計なたんぱく質」が脳にたまることであると、近年の研究でわかっています。
「脳のゴミ」を溜めないためには、食生活の改善がとても大切です。
おすすめは、ポリフェノールを積極的に摂取すること。ポリフェノールは植物に含まれる成分で、体の酸化を防いだり、血流を改善したりと、生活習慣病の予防に役立つと考えられています。
代表的なものには、アントシアニン(ブルーベリー・ビルベリー)、カテキン(緑茶)、イソフラボン(大豆)などがありますが、認知症予防で特に期待されているのが、スペアミントなどのハーブに含まれるロスマリン酸です。
角谷さんによると、ロスマリン酸はアルツハイマー病の原因になるたんぱく質の凝集(固まること)を防ぐことが、動物を使った実験で確認されたそうです。
角谷さんがこの本を書いたのは、若い頃に祖母が認知症になり、とても悲しい思いをしたことが根底にあるといいます。
「家族との記憶、思い出、愛情が消えてしまう。これほど悲しいことはありません」(角谷さん)
認知症は介護する人の精神的な負担によって、家族の関係さえ壊してしまうこともあります。
最後まで家族と穏やかに暮らすためにも「年のせい」「年をとったら仕方ない」なんて思わずに、できることから認知症予防に取り組んでいきたいですね。
(新刊JP編集部)
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