テレワークを導入する企業が増えた昨今。自宅での仕事にはかなりのセルフマネジメント能力が必要だと感じている人は多いのではないか。
もちろん、オフィスで働いていた頃もセルフマネジメント力は必要だった。しかし、「オフィスに行く」という行動によって、余計な誘惑が削ぎ落とされていたのは確かだ。寝ようと思えばベッドはすぐそばにあり、本棚にはマンガもあり、動画も見られる。そして、周囲に人の目はなし。この状態でオフィス時代と変わらないやる気とパフォーマンスを維持できるほど、人間は強くない。まして今はゴールデンウィーク明けである。
それでも、やるべき仕事、やらなければならないことがあるのは誰もがわかっている。だから、ダラダラと過ごしている自分に気づくと、罪悪感を覚えてしまう。テレワークは自己肯定感が下がりやすい働き方なのかもしれない。
ただ、そもそも人は誰も見ていないところで怠けずにいるのは難しい。まずはそこに気づくことが、テレワークをストレスなくこなす秘訣。そのうえで怠けたり、ダラダラしたりしない仕組みを生活の中に取り入れていけばいい。
『シャキッ! つい怠ける自分を「科学的に」動かす方法』(冨山真由著、すばる舎刊)は、行動科学の見地から、テレワークに適した時間管理、自己管理の方法を解説していく。
たとえば「仕事を始めなければ」と頭ではわかっていても、ついダラダラしてしまってなかなか始められない経験はないだろうか?オフィスでは簡単だったオンオフの切替が、自宅ではなかなかできない。
この問題を解決する方法は、オフィス時代と同じように「始業時間を決める」ことではない。自分なりの「スイッチ」を作ることだ。
「さあ。仕事開始!」と声を出すのでもいいし、「パチンと手を叩く」「スクワットを1回する」など決まった動作を作るのでもいい。これは行動科学で「身体プロンプト」と呼ばれる手法で、「これをした時が仕事開始の合図」というのを身体に覚え込ませることで、オンオフを切り替えることができるようになるという。1日、2日では習慣として根づかなくても、1週間、2週間と続ければ、スイッチとなるアクションと同時に仕事に気持ちが向かうようになるはずだ。
また、テレワークの悩みとして「休憩しっぱなし問題」がある。
お昼ご飯などで一度仕事を中断してしまうと、なかなか再開できなかったりする。息抜きのつもりでマンガを読み始めたが、どうにも再開する気が起きず、息抜きどころかずっと読み続けてしまうことも...。
こんな時は「あと10分だけ」とタイムリミットを作って仕事を再開する方向に持っていきがちだが、それよりもいい方法がある。「仕事で使うパソコンを1分間じっと見る」というものだ。
これは「刺激統制法」という行動変容のためのテクニックで、仕事の対象を見ることで、自動的に自分を仕事モードに持っていくことができる手法。お昼休憩の後、すぐに仕事を再開したいなら、手は動かさずにパソコンを黙って見つめてみよう。パソコンを使わない人は、仕事で使う資料や道具を見るのでもOK。
大切なのは、精神力や感情で怠け心をコントロールしようとしないこと。ちょっとしたアクションを入れてみることが大切なのだ。
◇
朝起きられなくなった。
だらだらと深酒するようになった。
やる気が起こらない。
オフィス時代のようにはかどらない。
タスクの抜けが目立つようになった。
本書ではテレワークでありがちなさまざまな悩みについて、行動科学マネジメントの見地からアドバイスを授けていく。
テレワークで怠け心が出てしまうのは、人間の性であってあなたのせいではない。そこに気づくことが、テレワークでストレスをためこまずに生産性の高い仕事をする第一歩。本書を読めばそのことがよくわかると同時に、具体的に何をすればいいのかも見えてくるはずだ。
(新刊JP編集部)
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