超高齢社会ということで、もともと健康意識の高い人が多い日本ですが、「健康」や「免疫力」といったワードに敏感なった人はコロナ禍でさらに増えたかもしれません。
健康といえば、まずは「食事=栄養」。でも、わかっているようでよくわからないのが栄養でもあります。
「バランスのいい食事」って何?どこに気をつければいいの?
「高たんぱく食品」が注目されているけど、とりあえず肉を食べれば大丈夫?
食事で免疫力を高めることはできるの?
などなど、栄養についての疑問を抱えたまま、テレビや雑誌で「体にいい」と言われていた食べ物を手あたりしだいに食べていませんか?
『よくわかる栄養学』(小林実夏、阿部惠理著/ユーキャン刊)は、日々の健康づくりに役立つ栄養についてマンガでわかりやすく教えてくれます。
たとえば、巷に溢れる 「〇〇を食べると肌にいい」「疲労回復には△△がいい」 といった情報。こういった情報を目にすると、ついついそこでオススメされている栄養素や食材ばかり食べてしまいがちです。
でも、栄養素も機能性成分(生命活動に必須ではないが、健康の維持機能が期待できる成分)も、それ単独で最大限の効果を発揮するわけではないそう。糖質がエネルギーに変わるためにはビタミンB1が必要ですし、そのビタミンB1を血中に長くとどめておくためにはネギやニラに含まれるアリシンという成分をとると効果的です。
このように、栄養素や機能性成分は体の中で助け合うもの。「バランスのいい食事」が推奨されるのにはこんな意味があるのです。
だから、最近注目されている「高たんぱく食品」も、そればかり食べていては栄養素が偏ってしまいます。たんぱく質のとりすぎが続くと腎臓に負担がかかり、腎機能の低下を招くことも。
そして、たんぱく質で気をつけたいのは「とり方」です。 食事でとったたんぱく質は、アミノ酸に分解されて全身に運ばれると、DNAにしたがって体を構成している「体たんぱく質」に合成されます。食事から摂取しないといけないアミノ酸は全部で9種類。この9種類をまんべんなくとることで、体内で再合成されるたんぱく質の量が多くなります。
たんぱく質というと 「肉を食べればいいんでしょ」 となりがちですが、動物性たんぱく質ばかりに偏ると脂質のとりすぎになりやすいので注意が必要です。
コロナ禍で注目を浴びているのが「免疫力」ですが、この免疫力がクセ者。情報番組などを見ると「免疫力を高める食材」が紹介されていたりしますが、「これさえ食べればOK」というものはなく、やはりこれも大切なのは「組み合わせ」です。
本書では
・免疫細胞のもとを作る(動物性たんぱく質、植物性たんぱく質)
・免疫細胞を活性化させる(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC)
・腸内環境を整える(発酵食品、食物繊維、オリゴ糖)
この3つの相乗効果で免疫力がアップするとしています。
そして、食事を整えるのと「車の両輪」になるのが生活習慣。ストレスや睡眠不足、運動不足など、免疫力を低下させる要素はできるだけ取り除いた生活をするのが免疫力アップの近道というのは心得ておきたいところです。
◇
食事や栄養に「これさえ食べておけばOK」というようなシンプルな正解はありません。そして、年齢や健康状態、その時の体調によってとるべき栄養素は少しずつちがいます。
「そんなに難しくて複雑なこと、毎日できないよ」 と思った人こそ、本書がおすすめ。メディアで得られる断片的な知識ではなく、栄養素についての総合的な知識が手に入るため、偏りのない食事をするためのポイントがわかってくるはずです。
食材ごとに栄養素や健康上の効果、食べ方のコツがまとめられていて、辞書のように使えるのも便利。健康のためにどんな栄養が必要で、何をどんなふうに食べれば摂取できるのか。とりすぎたり、足りないとどうなるのか。栄養素と食事についてのすべてをカバーできる一冊です。
(新刊JP編集部)
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