子どもが自分のやりたいことを自分で選び、主体的に生きる。
これが多くの親の願いなのはまちがいないところですが、実際の子育てがそうなっているのかは、また別の問題。
『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』(坪田信貴著、SBクリエイティブ刊)によると、親が「やりたいことを自分で選び、主体的に生きる子」を育てようと思う一方で、親自身の態度や子どもにかける言葉が主体性を奪うものになっていることはよくあるといいます。
親の過干渉が子どもの主体性を妨げる、といわれます。過干渉とは、たとえば子どもが「カルピスちょうだい」と言ってきたところに 「甘い飲み物は禁止。水を飲みなさい」 という対応のこと。さらに、そこで「やだ、カルピスがいい」とだだをこねたら 「ダメと言ったらダメ。言うことを聞きなさい」 というパターンも。
これが過干渉だからダメ、ということになると、「はいはい、カルピスね」とカルピスをあげるのが親として正しい対応なのでしょうか。実はそれも違うようです。
ここで望ましいのは、親が 「喉が渇いたの?」「つまらなかった?」 と子どもの要求に対して質問で返して、子どもが本当に言いたいことを探ることなのだそう。
「カルピスちょうだい」という言葉にはなっていても、子どもは単に喉が渇いたのかもしれませんし、ただ親の関心を引きたいだけかもしれません。だからこそ、質問を投げかけることで本当の要求について意思表示させることが大切なのです。
ほとんどの親は我が子にこのワードを言っているはず。
「好きなことをやりなさい。でも人に迷惑をかけることはダメだよ」 という具合です。
実はこれは親が最初にやめたい声がけなのだそう。その理由はシンプル。「誰にも迷惑をかけずに生きている人」など、この世に誰もいないからです。実際、「迷惑をかけるな」と教える国は日本くらいなのだとか。
生きていれば誰でも失敗をしますし、誰かに迷惑をかけます。それをフォローしあって生きるのが社会というもの。そうであるなら、「人に迷惑をかけるな」と教えるよりも「迷惑はお互い様。だから困った人がいたら助けよう」と教える方が健全です。
「人に迷惑をかけるな」の最大のデメリットは苦しい時に人に助けを求められなくなってしまうことです。また失敗を恐れたりすることにもつながります。
迷惑は誰でもかけるもの。だから他者に寛容であろうとする子育ての方が前向きと言えるかもしれません。
◇
よかれと思って、あるいは何の気なしにとっている親の態度が、実は子どもの自主性や主体性を奪っているパターンが、本書では数多く紹介されています。
親の言葉や行動は子どもに大きな影響を持っています。どんな言葉が子どもにどんな効果をもたらすのか、本書を読むと気づかされることは多いはずです。
(新刊JP編集部)
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