自分が率いている部署やチームがうまくまわっていると、リーダーはつい「自分のやり方はまちがっていない」と過信しやすい。
ただ、チームとしていい結果がでるのと、メンバーらが自分の仕事やリーダー、上司に満足しているかは別の問題だ。短期的にはチームメンバーが我慢することで結果が出ることもあるが、往々にしてその成功は長続きしない。
同じ働くなら、幸せで楽しいほうがいいに決まっています。
この会社で働いて良かったと思える喜びを感じたくない人などいません。働く人の、そんな素朴であたりまえの欲求を叶えることが、ますます組織に求められているのでしょう。(『幸せなチームのリーダーがしていること ストレスチェックのプロが教える新しいチームづくり』)
長期的、継続的に結果を出せるチームを作るなら、経営者も含めリーダーはメンバー全員の「幸せ」に気を配る必要がある。『幸せなチームのリーダーがしていること ストレスチェックのプロが教える新しいチームづくり』(船見敏子著、方丈社刊)の冒頭にはこんなことが書かれている。
ただ、一人もとりこぼさず、働く人みなが幸せなチーム・組織を作るのは簡単ではないし、究極的には不可能かもしれない。そこに一歩でも近づくために必要なこととして、本書では
・仕事の負荷がいいあんばい
・自由度が高い
・仕事の充実度が高い
・認め合う文化がある
・チームワークが良い
を挙げている。
たとえば「仕事の負荷がいいあんばい」について。
人によって耐えられる仕事の負荷は違う。負荷があまりにも高すぎると心身の調子を崩しやすくなるし、かといって低すぎると仕事のモチベーションが上がらない。生産性の面でも、負荷が高すぎても低すぎても下がってしまう。各人の「いいあんばい」を把握するのがリーダーの役割となる。
いいあんばいの目安は、過度な残業をしなくても終わる仕事量であること。また接客や営業などの職種は対人関係による感情的な負荷にも気を配ることが必要だ。また、「ムダな仕事」に目を光らせ、不要な仕事は整理することもリーダーの仕事となる。
ここまでは仕事の「量的な負荷」の話。ただ、仕事には「質的な負荷」もある。
質的な負荷とは仕事そのものの難しさだけではない。仕事そのものはさほど難しくなくても、上司からのプレッシャーがきつい仕事もまた質的な負荷の高い仕事である。
一方、部下の側がささいな仕事にも難しさを感じやすいケースがあるのも確か。特に自主的に考え、動くことが苦手な人にこの傾向があるという。こういう部下に対して、上司は質問を投げかけて自分の頭で考えることをうながしたり、わずかな進歩であっても認めてあげることで、自信を引き出すことが有効だ。
◇
仕事の負荷を各人のいいあんばいにすることだけでも、リーダーの仕事はきめ細かく、多岐にわたるが、他の4つについても同様。そう考えるとリーダーの仕事はものすごく大変なものに思えるが、いきなり完璧にこなせる人はいない。すこしずつ、自分もメンバーも幸せに働ける環境を作っていけばいい。
成果を残し、リーダーもメンバーもやりがいと幸福感を持って働ける職場を作るために、本書は大きな学びを与えてくれるはずだ。
(新刊JP編集部)
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