洗濯物の生乾きのイヤな匂いの正体は?
消せるボールペンはなぜ消せるのか?
普段何気なく使っているものや、生活の中の一コマで感じるふとした疑問。疑問だけど、特に調べるほど興味もない疑問。これらの疑問を科学で解決するのが『そこを教えてほしかった理系の雑学』(おもしろサイエンス学会編、青春出版社刊)だ。
本書では、宇宙や地球の大きな話題をはじめ、テクノロジー、脳、人体、動・植物、衣食住にまつわる身近な話題まで、日々の暮らしに大きく関わる理系をめぐる疑問をわかりやすく解説する。
たとえば、洗濯物を部屋干しした時、衣類からただよう雑巾のような不快な匂いの正体。
実はこれはモラクセラ菌という菌が主な原因なのだという。モラクセラ菌は特殊な菌ではなく、ヒトや動物の口、鼻の中の粘膜にも存在する常在菌である。
ただし、モラクセラ菌そのものは匂わない。この菌が洗濯物に付着し、増殖したあとに衣類に残っている水分や皮脂などを栄養分として取り入れ、フンのようなものを出す。これがイヤな匂いの正体だという。
モラクセラ菌は乾燥や紫外線に強く、一度増え始めるとどんどん増えていき、放っておけばいつまでも匂ってしまう。この対処法は、アイロンをかけること。この菌は60度以上の熱によって繁殖できなくなる。脱水したあとにアイロンをかけることで、繁殖を防ぐことができる。
近年の文具の大ヒット商品である消せるボールペンを愛用している人も多いのではないだろうか。なぜ、ボールペンの字が消せるのか。
消しゴムで黒鉛をはがしとる鉛筆とは違い、消せるボールペンはインク自体を取り除いているわけではない。温度の変化によって色が変わるインクを利用し、「見えなく」しているのだ。
消せるボールペンの頭についているラバー部分でインクをこすって消すようになっている。ラバーでこするときの温度は、だいたい60度を超えるとされており、インクが消える温度もこれくらいに設定されている。
そのため、付属のラバーでなくても、何かでこすって設定温度を超えればインクは消えることになる。ということは、夏の駐車場で高温になる車内に置いておくと、文字が消えてしまうこともある。いったん消えたインクは、温度を下げても復元することはできない。便利な文房具だが、使い方は気をつけなければいけないということだ。
理系が苦手という人こそ、身近なものを取り上げている本書を読んでみると、そのおもしろさ、奥深さを感じることができるはずだ。年末年始の読書にいかがだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
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