専業主婦が減り、働きながら家事や子育てをする人が増えた今、どうしても限られた時間のなかでさまざまなことをこなす必要に迫られて、常に身も心も疲れ果てているという女性は多いはず。
「夫が家事育児に参加してくれない」
「子育てへの職場の理解が乏しい」
などなど、そこには様々な理由がありますが、「昭和の子育てスタイルがアップデートされていない」もその一つ。
専業主婦が主流だった時代の子育ては、母親が子どもの身の回りのことにあれこれを気を回し、先回りする「お世話型」でした。現代の共働き家庭やシングルファザー・シングルマザー家庭でこれをするのは無理があるのは当然です。
限られた時間の中で何を重視して子育てをするか。
現代の子育てで親が問われているのはこんな問いなのでしょう。
ママが家族のためにと思って先回りしてやってしまうことによって、察することが苦手な子になり、家事のやり方を教えてこなかったことで自立できないまま親元を離れられない大人を増やしていることになります。
そんな残念な子育ては、もうやめにしませんか?(『親は9割お世話をやめていい』より)
「お世話型」の子育ては家事育児にかかる時間が増え、お母さん自身が大変なばかりか子どもにも悪い影響がある、としているのが『親は9割お世話をやめていい』(WAVE出版刊)の著者・イゲット千恵子さん。「お世話型」はやめて、「やるべきこと」を絞り「やらないこと」を決めることでお母さんの心と体は楽になり、子どもの力も伸びていくとしています。
多くの親は我が子に将来「精神的にも経済的にも自立した人」になってほしいと願っているはず。こんな大人に育てるために、親がやるべきこと、そしてやらなくていいことは何なのでしょうか。
「精神的にも経済的にも自立した人」を言い換えると「どんな環境に置かれても、自分の力で生きていける人」ということ。その条件の一つが社会性です。周りの人と仲よくやっていけることはもちろん、人に好かれたり、相手のしてほしいことを察したり、交渉して妥協点を見つけたり、といったことも大事な社会性。これらも子育てを通じて身につけていくことができます。
特に察する力は、お母さんが先回りして何でもやってあげてしまうと身につきません。親からしたら「自分でやった方が早い」となりがちなのですが、これは「仕事のできない人予備軍」を作っているのと同じことなのだとか。
日常のあちこちに気を配って先回りできるお母さんは、ものすごく仕事のできる人。その能力は子どもにも身につけさせるべきです。だからこそ、家のことを子どもに任せてみるのが大事。
洗濯であれば、「どんなやり方でもいいから、洗濯物を洗って家族ごとに分けてきれいにたたんでおいて。いつやってもいいけど、次に着る服がなくならないようにお願いします」と最低限のことだけ伝えて、あとは子どものやり方に口を出さずに見守ること。やり方については裁量を与えることで、子どもは親に質問したり、YouTubeで畳み方を調べたり、自分なりにどうすればうまくいくかを考えるようになっていきます。
手を出さないのはそれはそれで忍耐がいることですが、信頼して任せることで子どもは任された仕事に必要なことを自分で考え、気づく力を身につけていくのです。
◇
本書で明かされている「お世話」をしない子育て法の中にはすぐできることもあれば、「これはちょっと」と思うものもあるかもしれません。でも、できるものだけで大丈夫。今まで「自分がやらないと」と思っていたことを手放したり、子どもにやってもらったりすることで、自分自身が楽になり子どもも成長することに気づくはずです。
(新刊JP編集部)
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