ギャグマンガの鬼才・漫☆画太郎が今、絵本の世界で注目を集めている。
ガタロー☆マン名義で「悲劇は喜劇に、喜劇は超喜劇に!」をコンセプトに描かれる子ども向け絵本シリーズ「笑本 おかしばなし」を出版。画太郎風にアレンジされた「ももたろう」「おおきなかぶ~」は大いに話題を呼び、「ももたろう」は「第14回MOE絵本屋さん大賞2021」の新人賞第1位を受賞した。
その「笑本 おかしばなし」の第三弾となる『てぶ~くろ』(誠文堂新光社刊)もまた、オリジナルの良さはそのままに「画太郎っぽさ」が全開だ。
原作となる「てぶくろ」は古くから読み継がれるウクライナの民話。降りつづく雪の中にぽつんと落ちていた片方だけの手袋に小さなねずみがもぐりこみ、かえるがもぐりこみ、うさぎがもぐりこみ、とさまざまな動物が暖をとるが、最後にてぶくろを落としたおじいさんが探しにやってくるというお話。
『てぶ~くろ』でも、動物たちが手袋のなかで暖まろうと集まってくる。
すでにねずみもかえるもうさぎも入っているところにイノシシがやってきて...。
一目でそれとわかる漫☆画太郎の作風は今作も健在。テンポよく繰り返される「ました!!!」「あったか~~い!!!」は、子どもだけでなく大人にも中毒性がある。ふと気がつくと何回も繰り返し読んでしまっている。そんな絵本だ。初版限定でついている、声優の杉田智和さん、戸田恵子さんによる読み聞かせ音声も楽しい。
ところで落ちていた「てぶくろ」は、おじいさんのもの。落としたてぶくろを探しにやってきたおじいさんは、動物たちでパンパンになった手袋をどうするのか。実はここから驚きの展開になる。もちろん、画太郎作品によく出てくる「ババア」も健在だ。
絵本ファンも画太郎ファンも裏切らない『てぶ~くろ』のラストに注目だ。
(新刊JP編集部)
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