どんな業種であれ、個人で開いたお店を繁盛させるのは大変なこと。
まずはお店の存在を知ってもらい、お客さんに来てもらい、気に入ってリピートしてもらいと、安定した売り上げを作れるようになるには長い時間がかかります。その過程でうまくいかずに悩んでいる人は数多くいるはず。
『小さな治療院経営の教科書 月商100万円超えの繁盛マニュアル』(松下展平著、WAVE出版刊)は、小規模治療院に特化した売上アップの特効薬ともいえる一冊。脱サラ・開業で人気の治療院ですが、経営に苦しむ人は多いようです。
「治療院」で「小規模」と業種・規模を限定しているからこそ、本書では売上増と収益安定化に直結する指標について、目指すべき具体的な数字が示されています。もちろんその実現方法も明かされているため、今まさに経営に苦しんでいる治療院は「灯台の明かり」のような頼もしさを感じるはず。
本書によると、売上が上がらない治療院の問題点は「経営を感覚や"どんぶり勘定"で行っていること」にあるのだとか。
今月の売上がいくらで、新規の患者は何人で、ということくらいは把握していても、広告費と照らし合わせて新規患者ひとりあたりの集客コストや、その新規患者がリピート客になる率を計算して経営の改善をはかる人は少数派。ここが成功する治療院とそうでない治療院の違いです。
まずやるべきは「数字を計測し、現状を正しく把握する」こと。現状を正しく把握し、やるべきことを正しい順番で行えば、失敗は99%つぶせます。(P29)
現状を把握しないことには、売上を上げるために何をすればいいかも見えません。それが見えないまま、なんとなく良さそうなことをやっているのが失敗する治療院。まさに「勘とどんぶり勘定の経営」です。
では、何が自分の治療院に足りないのか、そして何をすべきなのかを知るために、どんな数字を把握すればいいのでしょうか。
本書では
・CPA(新規患者ひとりあたりの獲得単価)...広告の効果をはかるための指針になる
・2回目のリピート率(新規患者のうち、2回目に来院した割合)...売上アップのカギになる指針
・5回目のリピート率(新規患者のうち、5回来院した割合)...接客や技術の良し悪しをはかる指針
・LTV(患者ひとりあたりの年間支払い金額の平均)...リピート率や分単価改善の指針
・分単価(1分間あたりの施術料)...時短・値下げの際に必要な数字
・稼働率(先生が1日の中で施術をしている割合)...値上げや時短のタイミングを判断するために必要な数字
・継続率...(月をまたいで来院してくれる患者の割合)...常連さんの多さをはかる指標
の7つを、繁盛院を作るカギになる指標として挙げ、それぞれついて「月商100万円」を達成するためにどの程度の数字が必要かを明かしています。
たとえばCPAは、毎月目標売上の5~10%を広告費に使った場合、5000円以下なら合格。患者さんが治療院選びをした際に、他の院との比較に勝って選ばれていると考えられるそうです。また、2回目のリピート率は8割以上、5回目のリピート率は5割以上を目標にするようにすすめています。
◇
小規模な治療院にとって「月商100万円」はハードルが高い数字ですが、達成できればまぎれもなく繁盛院の仲間入り。自分の院を知ってもらい、選んでもらい、通ってもらうために、何をすればいいのか。もちろん施術の技術を磨くことも大切ですが、それとは別に経営の視点も必要です。
「新規客は月に何人ほしいか」
「広告費はどのくらい、どんなことに使えばいいのか」
「ホームページのキャッチコピーはどうする?」
などなど、繁盛院を作るために必要な「施術以外」の知識とノウハウは、本書ですべて手に入るはずです。
(新刊JP編集部)
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