ビジネスや研究、芸術などどんな分野にも「一流の人」や「世界最高峰の人」がいます。彼らは常人離れした頭脳を持っていて、それを武器に誰もできないようなことを成し遂げていくように思えますが、決して「ただの秀才」ではありません。
『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(中野信子著、アスコム刊)によると、彼らは例外なく、自分の発言や行動によって相手を自分のペースに巻き込んでいくことに長けています。それはただ頭がいいだけではく、人間的な魅力に溢れているということ。そんな彼らは「やっていること」と「やらないこと」は何なのでしょうか。
本書ではイスラエルのヘブライ大学で言語学を教えている、あるイタリア系ユダヤ人の例が紹介されています。20ヶ国語を操る言語の天才であり、歴史や宗教にも精通している、まさに「知の巨人」である彼ですが、決して恵まれた環境で育ったわけではありません。
爵位こそあれ、幼い頃に両親を亡くし義父母に育てられたそうですが、自由に使えるお金は全くなし。不条理に耐えるだけの逆境続きの人生の果てに学者として大成できたのは、まぎれもなく努力の賜物です。そんな彼は、決してグチを言わず、他人を悪く言うこともないのだそう。
「他人を悪く言わない」という態度は、2種類の人間を含みます。1つは他人に何をされてもただじっと耐える「守りの人」。もう1つは、「どんなに嫌な人からでも何がしか自分の血肉になるものを吸収してやろう」と考える「攻めの人」。おそらく、彼は後者でしょう。
悪人や嫌いな人に対して距離を置いたり、目や耳を塞いだりするのではなく、むしろじっと見て観察し、学べるものは学ぶ。この態度は困難に立ち向かう時、誰のことも傷つけずに戦う最善の方法なのです。
また、頭のいい人ほど考え方が「楽観的」なのだとか。ただ、それは「なんとかなるさ」という脳天気さとは違います。
頭のいい人の楽観主義は「なんとかなる」ではなく「やればできる」です。つまり、自分の力を信じていること。ただ、これは「自分には特別な能力がある」と思い込むことではありません。「できることをきちんとやれば、絶対に結果が出る」と信じること。
こういう考え方をしていると、誰もが「すごい」と思う成果をあげても、「自分に才能があるからだ」と考えて慢心することはありません。「ちゃんと準備しただけ」と考えて、特に自分がすごいとは考えないのです。そして、他の人もやれば同じようにできると思っているため、誰に対しても威張ったり謙ったりせず、対等に付き合うことができます。こういう人は、誰から見ても魅力的に映るはずです。
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本書には、著者の中野信子さんがこれまでに知り合った数々の「世界トップクラスの頭脳」を持つ人々の言葉や行動が明かされ、そこにひそむ彼らの考え方や生き方の指針を浮かび上がらせます。
彼らのまねをすれば同じようになれるとは限りません。ただ、「生まれながらの天才」と思われているような人が心がけていることのなかには、簡単にまねできて尚且つすぐに効果があるものもあります。本書を読んで、まずはできそうなものから始めてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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