朝はスッキリと目が覚め、多少睡眠時間が短くても日中精力的に活動できたのは昔の話。
歳をとるごとに「体調は万全」という日は減っていき、
「病気ではないが、健康という感じもしない」
「いつもなんとなく調子が悪く、何かしようという活力が湧いてこない」
今ではこんな状態が慢性化していませんか?
それもそのはず、変化が目まぐるしく、仕事や毎日の雑事に追われて忙しい現代に生きる人は、日常生活に支障をきたすほどの不調を感じてはじめて病院にかかります。逆にそれ以外は放置してしまいがち。これでは心身ともに健康は望めません。
『「アジャイル式」健康カイゼンガイド』(懸田剛、福島梓著、翔泳社刊)は、積極的に望まないと健康が手に入りにくくなっている現代に、自分の健康状態を日々カイゼンしていくための手法を教えてくれます。
「何をすれば健康にいいか」
体調管理をする時、ほとんどの人はこう考えて、運動不足の人はジョギングを始めたり、太り気味の人はランチを抜いてみたりします。でも、多くの人は効果が出る前に途中で挫折してしまいます。ダイエットなどは体重が減って一時的に効果が出ても結局続かずにまた太ってしまうことも。
なぜ健康のための習慣は長続きしないのか。
「意志が弱いから」ではありません。本書によると、その理由の一つは生活への「フィット感」がないからなのだそう。
「ジョギングで体調が良くなった」という人からジョギングを勧められたとしても、頻度も距離も走る速さも、その人のジョギングのやり方があなたにも合っているとは限りません。また、ジョギングを習慣化できたとしても、あなたの生活スタイルや体調が変われば、それまでのスタイルでジョギングをできなくなるかもしれません。健康のための取り組みは「何をするか」も大切ですが、もっと大切なのは、何をするにしても自分の生活への「フィット感」を追求することです。
この「フィット感」を模索ために役立つのが「アジャイル式」というスタイル。ITシステムの開発で使われる用語ですが、健康を手に入れるために、実はこの「アジャイル式」こそがキーワードなのです。
「アジャイル」とは、少しずつ機能を追加したり改善しながら徐々に全体を作り上げていくシステム開発のスタイルのこと。体調維持もダイエットもこの考え方を持てるかどうかで結果が変わります。というのも 「はじめにたてた計画通りにできたら成功、できなかったら失敗」 と考える人が多いからです。
健康の取り組みに成功も失敗も、そして終わりもありません。計画通りに進まなかったらその原因を検証して、少しずつ自分にフィットしたやり方を見つけていけばいいのです。
食事も運動も休息も、自分の目的や生活スタイル、その時の体調にフィットするやり方を模索し続けるのがアジャイル式。そのために、本書では様々な選択肢が提示されています。
運動一つとっても、脂肪を燃焼させたい人も入れば、筋力をつけたい人も、心肺機能を強化したい人もいるはず。その目的によって適した運動は違います。もし脂肪を燃焼させたいのであれば有酸素運動がおすすめ。息切れせず、笑顔で会話ができる強度で行うのが最も脂肪燃焼効果が高く、週に3日程度で大きな改善効果が期待できるとされています。
そこでおすすめなのは脂肪燃焼に最適な「目標心拍数」を知っておくこと。
1.「180−年齢」を計算する
2.1.の結果から、係数として以下から自分に最も適したものを1つ選び、数字を修正する
a.大病(手術や入院を含む)を患っている。または回復中である、リハビリ中である、定期的に薬を処方されている、慢性的なオーバートレーニングをしている、などの場合→「−10」
b.ケガをしている、トレーニングや競技で後退したり、上達しなかったりする、1年に2回以上風邪やインフルエンザなどの感染症にかかる、季節性アレルギーや喘息がある、太りすぎている、急性のオーバートレーニングをしている、または運動を始めたばかりや復帰したばかりで一貫性がない場合→「−5」
c. aまたはbで述べた問題が何もなく、2年以内に一貫して(週に4回以上)トレーニングを行なっている場合→「0(修正不要)」
d.上記の問題のいずれもなく2年以上トレーニングを行なっており、進歩があり、競技力が向上している場合→(+5)
ここで出た心拍数を超えない範囲で運動をすると脂肪燃焼に効果的だとされています。散歩やジョギング、または通勤中のちょっとした運動で参考にしてみてください。
◇
『「アジャイル式」健康カイゼンガイド』では、運動や栄養、休息、睡眠、ストレス管理などなど、健康を作るための様々な要素について、科学的な知見に基づいた知識を授けつつ、それらをいかに自分にフィットした形で実践するかについても解説されています。
調子が悪いままでいたくない人も、もう一度若さを取り戻したい人も、病気になりたくない人も、健康を求める全ての人にとって役立つ一冊です。
(新刊JP編集部)
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