初対面の人とでも楽しく話せるようになりたい。
飲み会でちょっとした笑いを取りたい。
友達や恋人から「おもしろい人」だと思われたい。
人を笑わせたり、楽しませたりしたいという気持ちは普遍的なもの。それだけに上手に人と話せないことはコンプレックスになりやすい。ただ、会話が続かなかったり、盛り上がらなかったりするのは性格のせいでも、会話のセンスのせいでもない。
■あえて「中身のない話」をする理由
『おもろい話し方――芸人だけが知っているウケる会話の法則』(芝山大輔著、ダイヤモンド社刊)は、会話がうまくいかない原因は 「ちょっとしたコツを知らないから」 だとしてそのコツの部分を教えてくれる。芸人のように爆笑をさらわなくてもおもしろい人だと思わせることはできるし、場を盛り上げることもできる。
まず大前提として、会話が苦手な人にありがちなのが「中身のある話」にこだわりすぎること。「話すからには、何か中身のある会話を」と思い込んでしまっているのだ。ただ、真実は逆かもしれない。
「この人話しやすい」「話していて楽しい」と思ってもらえるような会話上手な人は。めちゃくちゃしょうもない、どうでもいい話を積極的に織り交ぜます。(中略)こうした中身のない発言をすると、会話の心理的ハードルがグッと下がり、相手も発言しやすくなります。(『おもろい話し方――芸人だけが知っているウケる会話の法則』より)
中身のある会話は楽しいが、中身のあることを話そうと汲々とする会話は、自分も相手も楽しくない。プレッシャーなくなんでも話せることが楽しい会話の基本なのだ。
■会話を盛り上げる5つのリアクション
「話し上手」と「会話上手」は違う。おもしろいことが言えなくても、自分から話すのが苦手でも「この人と話していると楽しい」と思わせる「会話上手」になることはできる。
自分の話に興味を持ってくれ、引き込まれてくれる人と話すのは誰でも楽しい。口下手な人が会話上手になるために、目指すべきはそこだ。となると、大事になるのがリアクションである。
本書によると、いいリアクションのコツは5つ。
・大きく相づちを打つ...「うんうん」「なるほど」など。相手に「しっかり聞いてくれている」という安心感を与える。
・オーバーリアクションぎみに気持ちを伝える...怖いと思ったら「ええええ、怖ああああ!」と大袈裟にリアクションをすることで会話は一気に盛り上がる。
・共感を伝える...共感できるポイントがあったら積極的に伝えることで、相手は「この人はわかってくれる」と好感をもつ。
・話のポイントは「オウム返し」で...相手の話の「おもしろポイント」で、その単語をピックアップしてオウム返ししてあげると、相手の話のおもしろさが際立つ。
・話し終わりに「余韻」を...相手の話が終わったらすぐに別の話に移らずに、話が心に響いたことを伝える。
これらの5つのリアクションを、会話上手な人ほど上手に使い分けている。自分で話さずとも、相手に気持ちよく話させることも会話上手の条件なのだ。
◇
いつもの会話をほんの少し工夫するだけで、相手からの印象は大きく変わる。ビジネスでもプライベートでも「話していて楽しい人」と思われることのメリットは計り知れない。リアクションや話の振り方、返し方、ツッコミなど、本書は会話のあらゆる部分で「少しだけおもしろくなる方法」を教えてくれる。一読してみると、それらが案外難しいものではなく、シンプルですぐにでも実践できることに気づくはずだ。
(新刊JP編集部)
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