初対面の挨拶、雑談、プレゼン、面接など、場に応じた適切な話し方がある。また、最近では対面ではなくオンラインでの会話も想定して、伝わりやすい話し方を試行錯誤するビジネスパーソンも多いだろう。
『仕事ができる人の話し方』(青春出版社)では、あらゆるビジネスシーンにおける、対面・オンラインどちらにも使える話し方を具体例とともに紹介している。
著者の阿隅和美さんは、NHK衛星放送キャスターを10年務めたほか、TBSやCBCなどでスポーツ、情報番組などを担当した経歴の持ち主。トータル20年近いアナウンサーの仕事を経て、現在は、話し方やプレゼンテーション、コミュニケーションの研修やトレーニングを行っている。これまで指導してきた数は1万5000人以上になるという。話し方の指導のプロフェッショナルだ。
本書では、阿隅さんが体系化した「うまくいく話し方のセオリー」をベースに、対面でもオンラインでも活用できるテクニックを身近なビジネスシーンに置き換えてまとめている。
「ありがちな失敗例」も参考になる。たとえば、初対面の挨拶。
NG例
「はじめまして。今日はお時間を取っていただきありがとうございます。だいぶ、暖かくなってきましたね......」
一見、問題なさそうだが、どこがNGなのだろうか。ちなみに、「うまい人の」話し方はこちら。
対面の場合
「高層で展望がすばらしいオフィスですね!〇〇さんのお席からもこのロケーションが見えるのですか?」
「こちらのフロア、人が少ないですね。みなさんテレワークですか?」
「この界隈、再開発が進んでいますね」
オンラインの場合
「御社でもテレワークですか? 週に何回出社ですか?」
「オンラインは、結構利用されていますか?」
「そのオンライン用の壁紙、御社のロゴマークが入っているんですね」
ポイントは、対面では、相手の職場や働き方に関する質問を、オンラインではリモートに関する質問をすることだという。天気や時事のネタよりも、「相手にとって身近な話題」から始めるのが吉。会話が弾む「鉄板ネタ」をいくつか用意しておくとよいだろう。
巻末にはシーン別の索引があり、用途やシーンに合わせて必要な話し方を「逆引き」できる。
アフターコロナにそなえてDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進む中、オンラインでも通用するコミュニケーションは、これから先も強力なスキルとなるだろう。
本書の目次は以下の通り。
第1章 できる人の「話のきっかけ」のつくり方
第2章 できる人の「話の引き出し方・盛り上げ方」
第3章 できる人の「大事なことをしっかり伝える」話し方
第4章 できる人の「聞き上手」な話し方
第5章 できる人の「場をコントロールする」話し方
第6章 オンライン場面別、うまくいくシナリオ例
「商談前に場を温める、すべらない雑談の法則」や、「取引先・上司から『想定外の話題』を振られた時の、うまい!切り返し方」、「会議、提案で『なぜか了承を得るのがうまい人』の法則」、「的確な状況説明ができる人が『頭に描いていること』」など、相手の心をつかみ、うまくコミュニケーションをとる術が満載だ。
同じことを話すにも、伝え方次第で相手の印象は大きく変わる。場をコントロールしてしっかり伝える話し方を学んでみると、仕事も円滑に進むだろう。
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