初めての出産。睡眠と体力を奪われる中、常に目を離せない緊張感と、「ちゃんとやらなきゃ」という義務感にさいなまれる。産後のママは、心も体もボロボロで、生まれたばかりの我が子を「かわいい」と思う余裕などない。
つい、できないことを数えては、「〇〇しちゃってごめんね」「〇〇できなくてごめんね」と罪悪感にかられる頑張り屋さんのママにおすすめの本が、あらいぴろよさんの『「ごめんね育児」をやめてみたら、肩の力を抜けるようになりました』(光文社)だ。
「育児が辛い時は、肩の力を抜いていいんだよ」
「頑張りすぎないことが大切だよ」
そう言われても、「肩の力の抜き方」がわからない。相手が気遣ってくれているとわかるだけに、具体性のないアドバイスは「みんなはもっと要領よくやっているんだ」と、さらにママを追い詰めることも。
現在、6歳男児の母である著者のあらいぴろよさんは、産後およそ2年かけ、やっとの事で「肩の力の抜き方」を体得したそうだ。しかし、辿り着いたころには、親子共々ボロボロの状態だったそうで、「こんな経験をする人が少しでも減るように」と描いたという。
あらいぴろよさんは、あとがきで次のように語っている。
「私はどうやって肩の力を抜いて育児していいかわからず、ムダにイライラしながら過ごし、息子をたくさん傷つけてしまいました。もう戻らない息子の赤ちゃん期の写真を見るたびに、後悔と自己嫌悪で苦しくなります。私のように、子どもを傷つけ、後悔に苦しむ親御さんを減らしたい。そう願いたくさんの方に支えられながら、この本は完成いたしました」
本書のモットーは、「肩の力を抜くためには、越えてはいけないボーダーラインを知ることが必要不可欠」という前提で、専門家のアドバイスに基づき、具体的な「肩の抜き方」を指南する。
東京都市大学人間科学部児童学科准教授の泉秀生(しゅう)さん監修のもと、栄養士、保育士、小児科医など、各分野の専門家に「越えてはいけないライン=ここまでは手抜きしてもOKなライン」を取材し、マンガで解説している。
また、「越えたら虐待になるライン=これ以上手を抜いたらNGなライン」も付記されている。自身、虐待された経験を持つあらいぴろよさんならではの視点だ。
たとえば入浴。「赤ちゃんは清潔に。毎日お風呂に入れなくちゃ」と頑張りすぎる必要はない。小児科医は「医師からの指示がない限り、毎日入浴させることをおススメしています」としながらも、必ずしも毎日入れなくてもよいという。
「とはいえ、入浴させることが難しい日もあると思います。そういう場合は1日置きでも大丈夫ですので、ご自身を責めることは不要です」
また、「虐待ライン」には、「2日以上入浴させないという状況が日常的になっていたらネグレクト」という明確な目安が示されている。そのうえで、「問題は、お世話ができないほどに追い詰められている状況。勇気を出して人に頼って」とアドバイスしている。
本書の目次は下記の通り。子育ての「困った!」「わからない」への回答が、月齢・年齢別にまとめられている。
●0~1ヶ月
とにかく寝ないから休めない/「尊い」とは思うけど「かわいい」と思えない/泣かれるとつらい/授乳中、スマホ見てもいいかしら? ほか
●2~5ヶ月
時々1人になりたくなるのはダメ親?/やっぱりテレビはつけないほうがいい?/本当は母乳がいいですよね... ほか
●6~9ヶ月
遊びに行った先でグズられて心が折れる/同じ遊びにエンドレスで付き合うのがつらい/市販のベビーフードを使う罪悪感との闘い ほか
●10~12ヶ月
ママ友が作れません/指しゃぶりは愛情不足って本当?/勇気を出して相談してみたものの... ほか
●1~2才
叱ってもヘラヘラ笑っているんですが.../時には叩いてわからせないと...ですか?/大人しくさせるためにおやつばかりあげてしまう ほか
●3~5才
嘘をつかない子になってもらいたいのに.../きょうだい喧嘩が終わらない/汚い言葉を外で覚えてきたら? ほか
「0~1ヶ月」のページには、頑張りすぎちゃうママたちに、こんなメッセージが。
産後の心と体はボロボロ。
動けるからって動かなくていいぞ!!
「何もできてない」なんて思わなくていいぞ!!
「今日1日無事に過ごせた」
今、目指すのはこれだけでいいのだ!!
あと、「大丈夫?」と聞かれるときって、
だいたい大丈夫じゃないから聞かれるんだよ。
だから、「大丈夫?」って聞かれたら、
休む時なんだと思おうね。
また、パートナーに対しても、産後のママには「大丈夫?」と声をかけるだけでは不十分。「具体的に『自分が〇〇するから、とにかく寝て!』と声をかけてください」と、主体的に行動することを促している。
あらいぴろよさんは、イラストレーターで6歳男児の母。実写の映画化となったコミックエッセイ『"隠れビッチ"やってました。』(光文社)でデビューし、その後も『ワタシはぜったい虐待しませんからね!』(主婦の友社)、『美大とかに行けたら、もっといい人生だったのかな。』(光文社)、『虐待父がようやく死んだ』(竹書房)など話題作が多数。
子どもに対して「〇〇しちゃってごめんね」「〇〇できなくてごめんね」と思ったら、頑張りすぎのサイン。あらいぴろよさん曰く、「知識が平和をもたらす」。肩の力を抜いて、いましかない時間を大切に過ごそう。
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