実力では負けていないはずの同僚が大きなプロジェクトのリーダーに抜擢された。
同じくらいの経験値なのに、不思議と自分はあの人と比べて評価されていないように思う。
仕事でこんなことを感じているなら、あなたに欠けているのは「セルフプロデュース力」や「アピール能力」なのかも。周囲から選ばれる人になるためには、仕事の実力と同じくらい、「周囲に自分を強く印象づけること」が必要です。
『ニューヨークで学んだ最高の魅せ方: 自分を100%輝かせるセルフプロデュース術』(あさ出版刊)は、好印象プロデューサーの原田眞里さんが、自分らしさを発揮しながら周囲に選ばれる人になるためのセルフプロデュース術を明かす一冊。競争が激しいニューヨークのアパレル業界で生き抜いてきた経験をもとに、服装に話し方、身振り手振り、表情などなど、細部にわたって、何がどんな効果を生むのかについて解説しています。
今回は原田さんにインタビュー。この本で明かされているセルフプロデュース術のキモについてお話をうかがいました。
――原田さんがいたアパレルの世界は「華やかな人」「冴えた印象の人」が多い印象ですが、その世界でも、ぱっとしない人がいるというのは驚きでした。そういった人の特徴のようなものがありましたら教えていただきたいです。
原田:アパレルの世界も一般企業と同じようにいろいろな仕事があって、デザイナーやクリエイターのように表舞台で華やかに働いているように見える方もいれば、パタンナーや縫製、工場管理のような裏方の方もいます。
前線に立っているデザイナー、クリエイターの方々はおっしゃっるように冴えた感じでとがった方が多いのですが、裏方の方はそうでもなくて、控えめであったり、どちらかというと地味な方もおられますね。
――今回の本は、いかに自分を周囲に印象づけるか、どのように「選ばれる人」になるか、ということについて書かれています。アパレル関係の仕事をしている方だけでなくて、あらゆる業界、業種の方々の参考になる内容だと思います。
原田:仕事の内容や立場にかかわらず、皆さんどうしたら自分にスポットライトが当たるのか、どうしたら自分の商品を買って頂けるのか、どうしたら自分を選んで頂けるのかといったことについて模索されていると思います。
よく営業職で「商品ではなく、自分を売れ」と言われますが、これは営業職に限りません。「その他大勢」に埋もれることなく、どうしたら「魅せる自分」になれるのか、どうしたら自分をアピールできるのかという方法について書きました。
それがなぜ大事かというと、経験や技術、知識というのはあるレベルになるとほとんど差がつきません。では同じレベルにある人のなかでどのような人が選ばれていくかというと、その人の印象や魅せ方が決め手になるんです。
――スキルや知識、経験が互角であれば、その人が持つ個性や雰囲気、存在感が、周囲から選ばれるかどうかを分けるということですね。
原田:そうです。そこで「自分をどう見せるか」という話になるのですが、これは意識すれば自分で身につけることができるものです。
――ただ、存在感や雰囲気といったものは生まれ持ったものだと考える人が多いような気がします。
原田:後から身につけることはもちろん可能です。持って生まれた良さ、魅力は個々に必ずあるわけで、そこに気づいて意識的に磨いていくか、無自覚なまま自分の殻に閉じこもってしまうかは大きな違いになるはずです。
――海外で長く活動されていた原田さんからすると、日本のビジネスパーソンはアピールする力が弱いように見えるのでしょうか。
原田:自分の見せ方がわからない方が多いように思います。自分をアピールしたいという気持ちは持っているのに、どうすればいいのかわからない。自分をアピールしたり、魅力的に見せたりする力は、意識的にアンテナを張っていないとなかなか身に付きません。今回の本はそういう意味でも役立つ内容になったのではないかと思います。
――特に男性の場合、あまり自分がどう見えるかにまで気が回らない人が多い気がしますし「実力さえあればOK」という職人気質な価値観が根強いように思うのですが、アメリカではこういう価値観はあまりないのでしょうか?
原田:私が暮らしたニューヨークでは、どう自分をアピールするかは、皆が普通に考えることでした。少なくとも半歩下がって「私は結構です」というのは、ことニューヨークではまずありえません。
というのも、どう自分をアピールするかでプライベートでもビジネスでも結果がまったく変わってしまう。それこそ「食うか食われるか」です。どうにかして自分が勝たなければいけない。そのために何をするか、という思考の先に「自分をどう魅せるか」があるのです。
――セルフプロデュース力を身につけないと生きていけない環境ですね。刺激的ですが過酷だとも感じます。
原田:そうですね。私は10年ほど暮らしましたけど、20代で若かったからできたのだと思います。
――今は仕事でも対面で商談をしたり、会議をしたりということは減っています。リモートで魅力的に見える人になるための秘訣がありましたら教えていただきたいです。
原田:これは最近色々な方から聞かれますね。リモートだと画面越しなので、伝えたいことを伝えるためにはリアルの倍のエネルギーが必要ですし、ある種テレビ的な演出も求められます。
たとえばドラマの撮影では、そのシーンを演じる俳優さんや女優さんにスポットライトを当てますよね。リモート会議も相手からするとモニターを通して見る点で、テレビに映る時と同じです。自分に照明を当てることがまず大事です。
――確かに、相手からするとテレビ越しと同じですね。
原田:そうです。二つめに、リアルで接している時よりさらに表情が大事になるということもお伝えしたいです。表情豊かに話す人の方が、相手を引き込む力があるので。
三つめはジェスチャーで、画面の中に手の動きが見えるのと、顔だけしか映らないのとでは、印象がまったく変わるんですね。表情もジェスチャーも、リモートでは「ちょっとオーバーかな」と思うくらいでちょうどいいと思います。あとは服の色使いは、モニター越しなので普段よりも明るめの色を選ぶといいと思います。黒系など暗い色だと相手から見て重い印象になってしまいますので、顔まわりを中心に明るい色のつかうのがポイントです。
最後に背景も大切で、相手と状況に合わせたものにすると効果があります。たとえば誰かのコンサルティングをするとなった時、背景に生活臭のするものは当然おかない方がいいでしょう。バーチャル背景を使う時も、無造作に選ぶのではなくて、仕事の内容を意識して選ぶことをおすすめします。
(後編につづく)
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