面白いといわれるグルメマンガには、大抵はグルメ以外の何かしらのテーマが含まれている。
6月15日発売の漫画『作りたい女と食べたい女』(ゆざきさかおみ作/KADOKAWA)も、その一つだ。本作は少食だけど思う存分料理をしたい"作りたい女"の野本さんと、ブラックホールの如くご飯を食べまくる"食べたい女"の春日さんが、ご飯を作る&食べる作品。
手作り餃子やソーセージ味玉丼など、本作に出てくる料理はいずれも非常に美味しそう。それを食する春日さんの豪快な食べっぷりを見ていると、思わずおなかが鳴ってしまいそうになる。
ただ作って食べるだけではない。本作の最たる魅力は、食にまつわる描写を通じて、女性を取り巻く生きづらさを見事に描き出している点にある。
たとえば第1話では、会社にお弁当を持っていった野本さんが、「いいお母さんになる――」と言われ、葛藤する。「自分のために好きでやってるもんを『全部男のため』に回収されるのつれ~な~~」。日常に潜む違和感が、お弁当をきっかけに可視化されている。
痛快なのは、そうしたステレオタイプな価値観を従容として受け入れないところだ。定食屋で女性だからといってご飯を勝手に少なめにされた春日さんは、そこで押し黙ることなく、「普通に注いでください」と店主に茶碗を差し出す。
性別に関係なく、料理は「作りたいから作る」「食べたいから食べる」、ただそれだけのことなのに......。1巻以降はどんなストーリーが展開されていくのか。期待で胸がふくらむばかり。
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