「あざとい」と聞くと、ズルいとか、媚びている、ごまかしなど、ネガティブなイメージがあるが、コロナ禍のコミュニケーションでは伝え方が「あざとく」進化しているという。
2021年1月12日『「あざとい」伝え方入門』(日経BP 日本経済新聞出版本部)が発売された。
リモートワークが定着し、オンラインでの情報のやりとりが格段に増える一方で、雑談が減り、本来意図するコミュニケーションが難しくなったという声も多い。
本書では、心理学、行動経済学などの観点から「秘伝のたれはなぜ評価されるのか」「おばけ屋敷はなぜ怖いのか」など豊富な事例で、進化した「あざとい」伝え方テクを伝授する。
「あざとい伝え方」とは、具体的にどういうことなのだろうか。
たとえば、相手に「お得感」を与えて人を動かすこともその一つ。著者の山本御稔さんは、ニューヨークの土産物店で15ドルと8ドルの2種類の自由の女神像を見つけた。どちらにしようかと迷っていると、店主は「15ドルのほうは、5ドル値引きして10ドルでいいよ」と言った。そこで山本さんは値引きされた10ドルの女神像を選んだ。
8ドルの像に比べれば2ドル高いのだが、頭の中は「15ドルのものが5ドルも安くなった」という「得した感」でいっぱいになっているのだ。(本文より)
ちなみにこの2つの像は、日本ではどちらも500円で売られていたそうだ。店主の「あざとい」交渉にまんまとひっかかってしまった山本さん。コロナ禍では、こうした「あざとい」伝え方がますます進化しているという。
本書は日経産業新聞での著者の連載「コミュニケーションのつぼ_人と組織の動かし方」から好評だった記事をピックアップし、加筆・修正して構成したもの。伝え方・コミュニケーションの最新事情を、著者の体験を踏まえて語っている。
目次は以下の通り。
第1章 心理学で相手の心をつかめ
相手にお得感を与えて人を動かす/1杯1万円のコーヒーがなぜ売れるのか/メールでのやりとりの注意点/「無頓着」は大きな武器 ほか
第2章 AIの発達が人間のコミュニケーションを変える?
「エンゲージリング」って何だ?/コミュニケーションの質を評価/サルの進化にコミュニケーションあり/ウェブ会議では主語・述語を明確に ほか
第3章 プレゼン力は五感を交えて
「秘伝のたれ」と「10秒のたれ」/光を使ったプレゼン手法/集中は30分しか続かない/「1/fのゆらぎ」を起こせ ほか
第4章 「仕組み」を変えれば伝える力が倍増!?
座ったら会話、PCは立って操作/「Fアプルーブ」の勧め/コミュニケーションのハラスメント/うまく話せない人への対処法 ほか
第5章 思考のちょっとした変化でこんなにも変わる
ちょうど質問しようと思ってたのに! /おばけ屋敷はなぜ怖いのか/ウルトラマン、3分の理由/料理とコミュニケーションの共通点/一歩下がって二歩進む ほか
自分の意見や要望を相手に伝えるには、時に「あざとさ」も必要になってくる。ビジネスシーンはもちろん、日常のコミュニケーションでも役に立つ一冊。
■山本御稔 (やまもと・みとし)さんプロフィール
コア・コム研究所(株)フェロー、東京国際大学大学院客員教授、東京工業大学非常勤講師。
行動経済学を用いた金融論、コーポレートファイナンスを担当。社会人向けのコミュニケーションセミナー等を500回以上実施。同志社大学卒、シカゴ大学MBA、九州大学博士課程満期退学。ペンシルベニア大学ウォートン校年金・キャッシュマネジメントコース修了。デロイト・トーマツ等を経て、2020年よりコア・コム研究所。著書に『プレゼンテーションの技術』(日本経済新聞出版)等多数。
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